卒業生インタビュー:業界で輝く先輩たちに聞いてみました!
今回は、7月23日に郡山での公演を控える「劇団わらび座」で音響を担当している田中 美帆さん(尚志高校出身)にお話を伺いました。
本校での学びが、どのように現場で活かされているのか――リアルな声をお届けします!
— 国際アート&デザイン大学校 卒業生インタビュー —
共演した在学生スタッフとの再会に思うこと
田中さん:国際アート&デザイン大学校を卒業後、現在は一般社団法人わらび座で舞台音響を担当しています。今回の公演では、「叩き」と呼ばれる音出しのオペレーションを担当しました。
この「叩き」の仕事は、タイミングと集中力が命。私は正直、一番苦手なポジションだと思っていたほどです。でも今は、やり終えたときの達成感が一番ある仕事でもあります。
音響の現場では、会場によって音の響きが全く異なります。同じオペレーションでも、リバーブや音量バランスを細かく調整しなければなりません。特にツアー中は時間との戦いでもあります。
それでも、音をミスなくすべて出せたとき、俳優の演技と音がきれいにかみ合ったときに、「ああ、やってよかった」と心から感じます。疲れ果てて寝落ちすることもありますが、それも含めて舞台音響の魅力だと思っています。
特に印象に残っているのは、秋田県湯沢市の「小町まつり」で、初めて一人で音響オペレーションを担当したときのことです。公演は夜で、地元の方々が演じる舞台。稽古時間も少なく、たった1週間で全てを準備しなければなりませんでした。
太鼓とのタイミングを合わせる「叩き」が中心だったのですが、ずっと部屋で映像を見てタイミングを確認し、夜中まで練習していました。本番の日のリハでは不安もありましたが、なんとか大きな失敗なく終えることができたときは、本当に嬉しかったです。
在学中に受けた音響実習の授業は、今の仕事に非常に役立っています。舞台用語やミキサー操作、音量バランスの調整など、現場で必要な知識の多くが授業で身についていたことを、現場に出てから実感しました。
当時は照明をメインに担当していたので、もっと音響に触れておけばよかったという後悔もあります。今、後輩の皆さんには、照明・音響どちらも積極的に学んでおくことを強くおすすめします。
私が感じる最大の違いは、「マイクで拾う音」か「流す音」かという点です。ライブ音響では、楽器やボーカルをマイクで拾ってミックスしますが、舞台音響ではあらかじめ用意された音源を、いかに自然に物語と融合させるかがポイントになります。
舞台はセリフや動きに合わせて音を合わせる必要があるため、ミスが許されません。その分、成功したときの達成感もひとしおです。
わらび座は秋田県の自然豊かな場所にあります。都会と比べれば不便な面もありますが、寮もあり、生活費も抑えられるので経済的には安定しています。車は必須ですが、その分、自然や地域との距離が近いのも魅力の一つです。
周囲には温かい人が多く、外部スタッフや俳優の皆さんの笑顔に日々救われています。冬はまだ未経験ですが、先輩たちから「雪で駐車場から出られないことがあるから注意してね」とアドバイスをもらいました(笑)。
舞台音響は、ライブとは全く違う感性やスキルが求められる分野です。就職先を選ぶ前に、自分がどのフィールドで活躍したいのか、しっかり見極めてください。
もし舞台音響に興味があるなら、まずは「音にどう向き合うか」という姿勢を大切にしてほしいです。そして、学校での学びを大切に。授業で得た知識は、必ず現場で力になります。
田中さん、貴重なお話をありがとうございました!
田中さんが音響スタッフとして活躍している「劇団わらび座」は、7月23日(水)に郡山で公演を行います。
詳細はこちら→ 劇団わらび座 イーハトーブシアター【真昼の星めぐり】
舞台音響に興味のある方にとっても、きっと学びの多い公演です。
プロの現場を体感できる貴重な機会ですので、ぜひ足をお運びください!